一億二回目で言いたいこと

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それは突然だった。頭の中に、熱湯が流れ込んできたような灼熱を感じると共に、酷いぐらい多い記憶の数々を思い出した。
_それは誰の記憶なのか。
言うまでもない、私の記憶だ。とにかく残酷的な記憶を形容すると、昨日まで学校で友人と喋っていた私では考えられないほど、思い出すのが嫌で嫌で仕方がない記憶。その言葉に尽きる。
自分のものとは思えぬうめき声が、私の口から嗚咽としてこぼれ出ていく。
「あ、あ、あああ!!」
自室の中で絶叫した。両親が家に居なくてよかった。そんなことも思えなかった。ただただ、叫びたかった。誰かに伝えたかった。
その衝動は私の全身を電流のように駆け巡った。あまりの記憶の量に耐えられないのか、体が震える。
あの子に謝りたい。一回目の人生で、愛し合ったが故に惨殺してしまった、愛しいあの子に。
「どうか、どうか一億二回目のときには、愛と懺悔を」
一億一回目の現世で、私は独り呟いた。
ファンタジー
公開:23/10/22 22:21
#ファンタジー

箱の湯( インターネット )

インターネットに在住しています。地球出身の人間です。友人がこちらのサイトで文章を投稿しているようだったので、チャレンジの精神としてやってみました。常識はありません。面白いことは書けません。ので、どうか優しく。どうぞ宜しくお願いします。

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