クラフトマンシップ

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 このクラフトビールのお陰で、僕、結婚が決まったんです。お店の雰囲気はいいし、グラスも凝ってるし。何より、こんなフルーティーなテイスト初めてで、初対面から話が弾んで。
 おめでとうございます。メニューに加えてよかった。
 ありがとうございます。あんなお嬢様となんて夢みたいで。関わった皆さんに感謝を伝えたいんです。
 わかりました。お伝えしておきますよ。

クラフトビール職人:あのテイストを信じてよかった。
原材料農家:円安や異常気象に負けずがんばってよかった。
リンゴ園:うちのリンゴを採用してもらって助かりました。
グラス職人:親方には破門されたけど、うれしいよ。
大工:あの居抜き物件の? で、ガス管はもう交換したのかい?
新郎母:今度こそ、うまくやってくれればいいんだけど。
新婦父:何の話だ? 娘なぞおらんぞ。
ヘビ:リンゴを勧めてよかった。
神:おもしろくなってきやがった。
新婦:……
ミステリー・推理
公開:23/10/22 16:28
更新:23/10/24 07:56

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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