いくぶんか鳥

「教授、よろしいですか」
「あ、君はたしかＭ社に内定済みだね」
「そのことで相談があるんです」
「まあ、かけなさい」
「ありがとうございます。じつはＭ社をやめて動物園とか考えているんですが」
「そりゃまたどうして」
「個人的な理由で」
「だから、なぜ？Ｍ社は有望な大手機械メーカーだ。動物園で何をするのかね」
「自分は鳥ではないかと思うんです」
「鳥？理由を話したまえ」
「鳥だから動物園が向いてるかなって」
「君が鳥という根拠は？」
「父も母も人間ですが祖父の弟がどうも鳥らしいのです。その血を自分が引いているみたいで」
「外見も中身も人間じゃないか」
「完全な人間ではなくて鳥の血が」
「何パーセントが鳥なんだね、数値で示しなさい」
「いくぶんかは鳥なんです」
「卒業研究で忙しかったから休んで気分転換することだね」
「・・」
「私も青春時代には悩んだものさ、自分はいくぶん河馬じゃないかって」