おすそわけ

私は良い酒が手に入ると親友におすそわけに行く。
生前は酒が大好きだった親友。これが飲めないなんて、本当に惜しい事をしたな。
墓に酒を注いだお猪口を供える。
天使のわけまえって奴か、供えた酒は徐々にそのかさを減らしていく。
もしかしたら、酒のニオイにつられてやって来たのかもな。親友は「いい酒が手に入った」と言えば飛んでくるような奴だった。
そんな親友に思いを馳せ空を見上げる。時刻は夕方。
今日の夕焼けはいつもより赤らんでいるように見える。もしかしたら、今私の目の前には赤ら顔の親友がいるのかもしれない。
嬉しそうな顔が透けて見えてくる気がした。
また良い酒が手に入ったらおすそ分けに来るよ。
その代わり、私がそっちに行く時は天国のいい酒を私におすそ分けしてくれよな。