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グルメ雑誌の懸賞に当たり、クラフトビール工場のナイトツアーに参加した。
「月影酒造へようこそ」
艶やかな微笑みを浮かべ、かぐや工場長がドアを開ける。
宵闇に沈む生産ラインで働くのは、銀の毛皮の月うさぎ達だ。餅をつくのは正月だけで、本業はビール造りらしい。
手足や長い耳を器用に操り、見事なチームワークで看板商品のムーンライトビールを醸造する。彼らが発するほのかな光が工場内に瞬き、イルミネーションの様で幻想的だ。
「本日は月に一度の総量充填となります」
真円の月齢タンクにビールが満ち、工場が金の光に包まれる。麦酒色に染まったタンクは泡立ちながら昇って行き、中天へ達する頃には、白々と輝く満月になっていた。
「お待ちかねの試飲でございます。存分にご光味下さいませ」
身体がふわりと軽くなり、うさぎ達に連れられて低重力の夜空を跳ねる。
夜風で飲み頃に冷えた月面と乾杯し、グラスに閉じ込めた月を呷った。
「月影酒造へようこそ」
艶やかな微笑みを浮かべ、かぐや工場長がドアを開ける。
宵闇に沈む生産ラインで働くのは、銀の毛皮の月うさぎ達だ。餅をつくのは正月だけで、本業はビール造りらしい。
手足や長い耳を器用に操り、見事なチームワークで看板商品のムーンライトビールを醸造する。彼らが発するほのかな光が工場内に瞬き、イルミネーションの様で幻想的だ。
「本日は月に一度の総量充填となります」
真円の月齢タンクにビールが満ち、工場が金の光に包まれる。麦酒色に染まったタンクは泡立ちながら昇って行き、中天へ達する頃には、白々と輝く満月になっていた。
「お待ちかねの試飲でございます。存分にご光味下さいませ」
身体がふわりと軽くなり、うさぎ達に連れられて低重力の夜空を跳ねる。
夜風で飲み頃に冷えた月面と乾杯し、グラスに閉じ込めた月を呷った。
ファンタジー
公開:23/10/24 10:02
クラフトビールコンテスト
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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