科学的根拠はない
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「麗しの我が君、君を誰より愛しているよ」
やたら手足が長い女に、そう言われた記憶があった。その記憶を思い出したのは、目覚めてすぐのことだった。見知らぬ場所で、見知らぬ女に、見覚えのない好意を向けられて、自分はただ混乱していたのが記憶に新しい。
_冷たい。
女に触れられた右の頬が、夢の記憶の通りに、未だ冷たかった。氷水の入った袋を当てられたような、そんな気分だった。夢と繋がっているのだろうか。
無神論者で、科学的根拠のないことすべてを嫌う私は、寝押した白いカッターシャツを着る。
不快になりながらも、洗面所へと向かい、鏡と向き合った。
そして、絶句した。
「我が君、忠告を聞き入れないのは感心しないね」
見覚えのある手が伸びてくる。冷たい手が私の頭を鷲掴みにした。頭から肩、肩から胴体、と、鏡へと引きずり込まれる。
「愛しているよ、我が君」
自分を見つめるこの女が、人間でないことはたしかだった。
やたら手足が長い女に、そう言われた記憶があった。その記憶を思い出したのは、目覚めてすぐのことだった。見知らぬ場所で、見知らぬ女に、見覚えのない好意を向けられて、自分はただ混乱していたのが記憶に新しい。
_冷たい。
女に触れられた右の頬が、夢の記憶の通りに、未だ冷たかった。氷水の入った袋を当てられたような、そんな気分だった。夢と繋がっているのだろうか。
無神論者で、科学的根拠のないことすべてを嫌う私は、寝押した白いカッターシャツを着る。
不快になりながらも、洗面所へと向かい、鏡と向き合った。
そして、絶句した。
「我が君、忠告を聞き入れないのは感心しないね」
見覚えのある手が伸びてくる。冷たい手が私の頭を鷲掴みにした。頭から肩、肩から胴体、と、鏡へと引きずり込まれる。
「愛しているよ、我が君」
自分を見つめるこの女が、人間でないことはたしかだった。
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公開:23/10/23 22:37
#夢
#人外
インターネットに在住しています。地球出身の人間です。友人がこちらのサイトで文章を投稿しているようだったので、チャレンジの精神としてやってみました。常識はありません。面白いことは書けません。ので、どうか優しく。どうぞ宜しくお願いします。
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