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リカは、朝、一通の手紙を受け取った。差出人は「幸せ協会」である。ゴミ箱に捨てようと思った。が、白いネコのイラストがかわいくて、思わず開封してしまった。一枚の便箋が入っていた。「猫箋をつかえばどんな物語も書くことができます」とだけ書いてあった。リカは小説家であった。しかし、締切前にもかかわらず一行も書けないでいた。その便箋を使ってみた。自動筆記のようにあれよあれよと物語が進んでいった。ペン先は滑るように進んでいった。裏面にもどんどん書けた。ああ、この便箋が欲しい! 何円でもいい!! 住所がわからない。ネットで「幸せ協会」を検索しても出てこなかった。リカは、次の日もその次の日もポストを見た。手紙はこなかった。猫缶をポストの上に置いておいた。翌日、ポストを開けると協会から手紙が届いていた。あの便箋が入っていた。だが、続きを書こうにも全くペン先が動かない。よく見ると便箋のネコは「黒」猫だった。
ファンタジー
公開:23/10/19 12:28

笠森まき( 東京 )

田丸さんのご本を読んでショートショートが大好きになりました。楽しくて、毎日がワクワクしています。私にとってショートショートは「読むサプリ」、ほっ、となればうれしいです。読んでくださって、ありがとうございます。

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