ホップの妖精

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今年も無事に終わった。

ホップの収穫前、高く伸びた蔓を利用して迷路を作っている。遊べるのは8月上旬までだが、夏休みを利用して親子連れが来る。

今年も事故無く収穫に移れる。ありがとう、妖精。お礼にほら、いつものように、前年のホップで作ったビールを置いておくよ。

「妖精、来ますかね」

来るさ。誰よりもホップを愛し、ホップ畑で最期を迎えた奴だもの。

しばらくすると、蔓がざわざわと揺れ始めた。来るぞ、来るぞ、来たー。
ひょいと顔を出し、ビールの入ったタンブラーを掴むと一気に飲み干し、ニッと笑って消えた。

「何度見ても、ただのおっさんですよね、妖精じゃなくて」
「まあ、正確には地縛霊だからな」

ホップを愛するが故、畑から離れられない霊。しかし彼のおかげで、迷路で迷子になったり熱中症になったりする子供達はいない。

今年のホップの様子はどうでした?妖精。また来年会いましょう。約束ですよ。
その他
公開:23/10/19 11:44
クラフトビールコンテスト

いづみ( 東京 )

文章を書くのが大好きです。

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