クラフトチャイルド

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「何か飲む?奢るよ」

 俺は「そんな汚れた金で飲めるかよ」とマスターを呼び、目の前に置かれたビールに、息子は驚いた顔をした。

「良いのかよ、仕事中だろ?」
「あぁ、絶賛仕事中だ」

 息子は「なら駄目だろ」なんて鼻で笑う。

「知ってるか?この町はクラフトビールを出す店が多いけど、ここが一番美味いんだぜ?」
「違いあんの?」
「あるとも、作る人に味も似てくるからな」

 コイツは「子育てみてえだな、子は親に似る……みたいな?」と、水面に揺らぐ自分の顔を目を細めて眺めた。

「俺を美味く作れたと思う?」
「バーカ、こんな事やっといて胸張ってそんなこと言えるかよ」

 静かにカウンターに手錠を置く。それに息子は「だよな」なんてまた一口呑む。

 丸くなる背を「修正の効かないクラフトビールはない」と軽く叩いた。

「俺は上手く育てられなかった、でもこれから会う警官がお前の味を整えてくれるさ」
その他
公開:23/10/18 23:16

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