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マッチ売りの少女は嫌いだ、なんて急にハツさんが言ったときも、私はただ黙って聞いていた。
花火をしたいと言ったハツさんに誘われ、私は寒空の下、夜の浜辺まで来ている。暗闇の中に季節外れの手持ち花火が煌々とし、不自然に鮮やかな火に照らされたハツさんは少し幻想的だった。足下には鎮火用に水を汲んだ、私の知らない銘柄のビール缶がある。缶はハツさんが飲み干したものだ。勧められ飲んだ一口は、癖のある、でもどこか優しい味で、何となくハツさんみたいだった。
ハツさんは、あの話しは悲し過ぎる、と続けた。そもそもマッチを灯してまで見る願望が、既に死んだ、祖母と一緒になること、というのが気に入らないと言った。
だから、アンタはもう行ってよね、と。燃え尽きた花火を缶に刺し、呆れたように笑う。
「ごめん」
私が謝る瞬間に、最後の花火が燃え尽き、辺りは暗闇に戻ってしまう。
やがて辺りが明るくなり、私は一人で目を覚ます。
花火をしたいと言ったハツさんに誘われ、私は寒空の下、夜の浜辺まで来ている。暗闇の中に季節外れの手持ち花火が煌々とし、不自然に鮮やかな火に照らされたハツさんは少し幻想的だった。足下には鎮火用に水を汲んだ、私の知らない銘柄のビール缶がある。缶はハツさんが飲み干したものだ。勧められ飲んだ一口は、癖のある、でもどこか優しい味で、何となくハツさんみたいだった。
ハツさんは、あの話しは悲し過ぎる、と続けた。そもそもマッチを灯してまで見る願望が、既に死んだ、祖母と一緒になること、というのが気に入らないと言った。
だから、アンタはもう行ってよね、と。燃え尽きた花火を缶に刺し、呆れたように笑う。
「ごめん」
私が謝る瞬間に、最後の花火が燃え尽き、辺りは暗闇に戻ってしまう。
やがて辺りが明るくなり、私は一人で目を覚ます。
その他
公開:23/10/21 00:47
更新:23/10/30 00:32
更新:23/10/30 00:32
斜に構えてます。
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