クラフトの夢をもう一度

4
4

一人の老人がいた。彼は若い頃、夢を見つけようと海外に行く事にした。
目を瞑って地図を指した所、それはドイツの田舎町であった。
早速旅立ち田舎町に着くと、お腹が空きレストランへ入った。
長いテーブルに客達が座り楽しそうにビールを飲んでいた。
彼も同じビールを頼み、一口飲み今まで味わった事の無い旨さに驚いた。雰囲気にも取り憑かれ、連日通い続けた。
彼はこの味のビールを作り、人々に楽しんで貰えるレストランを作ろうと決心した。
夢は実現出来ぬまま、老人になってしまった。

或日彼はあの田舎町と同じ名前のレストランが山奥に在る事を知ると、何かに呼ばれている気がし行ってみた。
雰囲気は若い時に訪ねたドイツの店と同じだ、ビール工場の中に長いテーブルが在った。横に立っている男が、若い頃の自分だと気付いた。その男が彼を観た瞬間、彼は男の体に吸い込まれていた。
今日も彼は工場の中で胸を躍らせながら働いている。
ファンタジー
公開:23/10/16 18:35

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容