裾集め
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テーラーでズボンの裾上げを頼む際、裁断した切れ端をお裾分けに出す事が多い。
最近流行りのSDGs、平たく言えば裾のリサイクルだ。数センチのひも状に切った生地を集め、地域のイベントや慈善団体の寄付に活用する。補修用の共布に取っておいても、大概使わずに変色させたり、裁縫箱に眠ったきりになるずぼら性だから、ひと様の役に立ててもらった方が、元スーツの裾としても嬉しいはずだ。
そんなテーラーが、創業50年記念に新ブランドを立ち上げたと聞き、新作発表会に足を運んだ。
色柄も材質もまちまちなストライプ柄のスーツやネクタイは、客のお裾分けを縫い合わせ、パッチワークに仕立てたものらしい。
ジャケッの一つに覚えのある色を認め、めっきり頭の涼しくなった店主と皴顔を見合わせる。
若造の時分、なけなしの給料をはたいた初注文の品だ。
お互い歳を食ったな。久方ぶりに袖を通した古い背広を撫で、窮屈な腹を揺らして笑った。
最近流行りのSDGs、平たく言えば裾のリサイクルだ。数センチのひも状に切った生地を集め、地域のイベントや慈善団体の寄付に活用する。補修用の共布に取っておいても、大概使わずに変色させたり、裁縫箱に眠ったきりになるずぼら性だから、ひと様の役に立ててもらった方が、元スーツの裾としても嬉しいはずだ。
そんなテーラーが、創業50年記念に新ブランドを立ち上げたと聞き、新作発表会に足を運んだ。
色柄も材質もまちまちなストライプ柄のスーツやネクタイは、客のお裾分けを縫い合わせ、パッチワークに仕立てたものらしい。
ジャケッの一つに覚えのある色を認め、めっきり頭の涼しくなった店主と皴顔を見合わせる。
若造の時分、なけなしの給料をはたいた初注文の品だ。
お互い歳を食ったな。久方ぶりに袖を通した古い背広を撫で、窮屈な腹を揺らして笑った。
その他
公開:23/10/16 18:07
月の音色
月の文学館
テーマ:おすそわけ
朗読採用いただきました♪
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO
ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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