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戦争へ赴く息子の無事を願い、母は天使に祈りを捧げた。
「心優しいあの子を…天使様…」
現れた天使は笑み、「無償奉仕最高っ!」と万歳した。
「どうか、息子が家に帰れるよう…」
天使は「じゃ、戦争中は息子さんを不死身にしてあげる」と言い、パチパチと拍手をした。「まったね~」
母は歓喜し、息子は訳がわからぬまま出兵した。
終戦後の空港にて――無事に帰還した息子を見た母は、変貌した彼の姿を見て、驚愕した。
「ママ、僕は…」
息子の髪はまだらに抜け、目は血走り、顔は湿疹だらけでフジツボの生えた岩のようだった。
「いっぱい殺したんだ…何人も…何千人も…」
それは、寓話の化け物、グールのように見えた。
「ママ…僕は…どうしたら、死ぬの?」
「いやっ、いやーっ!」
「ん~何があったか知らないけど、無事に再会できたし、任務完了~」
空港のロビーで空弁を食べ、天使は咀嚼しながら呟いた…。
「心優しいあの子を…天使様…」
現れた天使は笑み、「無償奉仕最高っ!」と万歳した。
「どうか、息子が家に帰れるよう…」
天使は「じゃ、戦争中は息子さんを不死身にしてあげる」と言い、パチパチと拍手をした。「まったね~」
母は歓喜し、息子は訳がわからぬまま出兵した。
終戦後の空港にて――無事に帰還した息子を見た母は、変貌した彼の姿を見て、驚愕した。
「ママ、僕は…」
息子の髪はまだらに抜け、目は血走り、顔は湿疹だらけでフジツボの生えた岩のようだった。
「いっぱい殺したんだ…何人も…何千人も…」
それは、寓話の化け物、グールのように見えた。
「ママ…僕は…どうしたら、死ぬの?」
「いやっ、いやーっ!」
「ん~何があったか知らないけど、無事に再会できたし、任務完了~」
空港のロビーで空弁を食べ、天使は咀嚼しながら呟いた…。
ホラー
公開:23/10/16 00:12
天使ちゃんcv/水瀬いのり
ショートショート好き。
得意ジャンルはホラー。
座右の銘は『清く正しくいやらしく』。
好きな書籍は『悪魔の辞典』と『悪魔の寓話』。
制限400字という発想に感銘。
コメントとフォローはできるだけ返します。
楽天ブログにて『株式会社SEES』の名でショートショートと短編小説掲載中。
https://plaza.rakuten.co.jp/gomishi14/
よろしければ、ぜひ。そして、たまに呟きます。
https://twitter.com/IiSees
さて、今日はどんな事件が起きることやら……。
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