4
5
ある日の事、極楽の蓮池を散歩なさっていたお釈迦様は、池に咲く蓮の中に一つ、他と違った色を見出されました。
その花弁は黄金に輝き、白く泡立つ蕊(ずい)からは、ほろ苦くも爽やかな好い匂いが漂います。
お釈迦様が蓮の下をかき分けてご覧になりますと、池の底から透けて見える地獄では、鬼たちが盂蘭盆会の宴をやっておりました。
酌み交わす杯の酒は蓮と同じ黄金と白。ははぁこの蓮め、根を伸ばし過ぎて地獄の酒に当たったか。苦笑なさったお釈迦様ですが、愉しげな様子に気を惹かれ、花から滴る雫を蓮の葉に集め、一口聞し召されました。
その初めての味に心酔されたお釈迦様。ふいと悪戯気がもたげ、天の蜘蛛を遣わして、美しい金の糸を池の底へお下ろしなさいました。
辺りが宵闇に包まれる頃。極楽の池には黄金の蓮が咲き乱れ、糸を登って招待された鬼と亡者に犍陀多(かんだた)までが、お釈迦様と池を囲んで酒池肉林に興じておりました。
その花弁は黄金に輝き、白く泡立つ蕊(ずい)からは、ほろ苦くも爽やかな好い匂いが漂います。
お釈迦様が蓮の下をかき分けてご覧になりますと、池の底から透けて見える地獄では、鬼たちが盂蘭盆会の宴をやっておりました。
酌み交わす杯の酒は蓮と同じ黄金と白。ははぁこの蓮め、根を伸ばし過ぎて地獄の酒に当たったか。苦笑なさったお釈迦様ですが、愉しげな様子に気を惹かれ、花から滴る雫を蓮の葉に集め、一口聞し召されました。
その初めての味に心酔されたお釈迦様。ふいと悪戯気がもたげ、天の蜘蛛を遣わして、美しい金の糸を池の底へお下ろしなさいました。
辺りが宵闇に包まれる頃。極楽の池には黄金の蓮が咲き乱れ、糸を登って招待された鬼と亡者に犍陀多(かんだた)までが、お釈迦様と池を囲んで酒池肉林に興じておりました。
ファンタジー
公開:23/10/15 12:57
クラフトビールコンテスト
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO
ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
ログインするとコメントを投稿できます