カエル化現象の夜に

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ある日、千鳥足気味のお姫様が、うっかり大事な金のビアジョッキを泉に落としてしまいました。
「なんてこと…今夜はとびきりの一杯なのよ…」
悲しみに打ちひしがれるお姫様に近づいたのは、1匹のカエル。
「かわいいお姫様。僕のお友達になって一夜を共にしてくれるなら、取ってきてあげるぜ」
「何?新手のナンパ?でも、仕方ないわ、お願い」
無事、金のビアジョッキを受け取ったお姫様。
でも、さすがにナンパカエルとの約束を果たす気持ちにはなれず、そっと城に戻り、キンキンに冷やしていたクラフトビールを堪能していました。
晩酌に付き合っていた王様は、泥酔気味で言いました。
「約束したなら…ヒック…守るべきだぞ…Zzz」

泉の前で再会した二人。
「このクラフトビールを飲み干せたら、あなたの言うとおりにするわ」
ビアジョッキを抱えたカエルは、大きく一口飲んだ途端、ひっくり返ってこう言いました。

「ゲコ…ゲコ…」
ファンタジー
公開:23/10/18 17:29

壽原あき

少しずつショートショートに挑戦しています。
楽しみながら続けていきたいです。

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