竹の馬

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2本の竹竿を右に左に1本もって、横木の足掛かりに足をのせて、右左右左歩いて走って。高足とも言ったっけ。
幼い頃、竹馬に乗って遊んだ友たち。竹馬の友たち。
今は、どうしているだろうか。

私は床に臥せている。
間もなく寿命が尽きようとしているのが、自分でもわかる。

ぱからっぱからっぱから
馬が走る音が聞こえる。
ぱからっぱからっぱから
馬が近づいてくる。

走馬灯のように、あの日のみんなが。竹馬で遊んでいるみんなの姿が見えた。楽しそうなみんなの声も聞こえた。

私の頭の中を駈け巡り、幻覚だろうか。幻聴だろうか。
いや、確かに竹の馬が駈けてきた。
しなやかな竹の馬だ。

あの日のみんなが。竹馬で遊んでいるみんなの姿が見えた。楽しそうなみんなの声も聞こえた。

竹の馬が、私を優しくみつめた。
私は息をひきとった。


竹の馬が私を乗せて、天へ上ってゆく。
私を乗せて。

ぱからっぱからっぱから
その他
公開:23/10/17 17:34
竹馬 走馬灯 走馬燈 寿命 日常 童話 絵本

前虎2( https://twitter.com/mae10ra )

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