赤い糸で編んだ花

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少女が野原で遊んでいると、美しい人が眉を八の字にして彷徨っていました。声をかけると、大切な蝶の簪を落としてしまったと言うので、探すのを手伝う事にしました。
しばらくして、簪を見つけた少女がその人の艶めく髪へ簪を刺してあげると、簪の蝶はヒラリと羽を動かしました。

「そなたのおかげで、私の蝶が戻ってきた。お礼に運命の赤い糸を授けよう。好きに使うがよい。」

少女は赤い糸の束を貰いました。美しい人は縁結びの神様だったのです。
それからというもの、少女には様々な良縁が舞い込みました。この幸福を皆にもお裾分けしたいと、少女は残っていた赤い糸を編んで花を作り、野原へ簪の様に数本刺しました。すると、花はどんどん増えて、野原は美しい紅に染まり、幻想的なその光景を一目見ようと集まった人々の間では、次々に良縁が結ばれていきました。
彼岸と此岸の縁さえも結ぶ力を秘めたこの花は、後に彼岸花と名付けられました。
ファンタジー
公開:23/10/16 22:40
おすそわけ

ネモフィラ(花笑みの旅人)( 気の向くまま )

読んでくれてありがとう!

寒い季節になったから、気が向いた時にふらりと立ち寄ってゆるーく投稿しています。

 

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