バカ息子びぃる

息子の二十歳の誕生日、私は”息子びぃる”の蓋を開けた。
眉を顰める息子。これをジュースと思っているようだ。
いやいや。これは酒だ。お前が生まれた日から大切に熟成させてきたビールだ。飲んでみなさい。
美味いだろう？ほら、ツマミもあるぞ。手羽先みたいなものだ。これも食え。
息子は食事を楽しむ。
その姿に私はため息を吐いた。
なぁ…息子よ。今お前がしゃぶっているのは私のスネだ。いつまでそれを齧っているつもりだ？
ビールだってそうだ。いつまで現状に酔っている。現実を見ろ。それをマズいと思わなきゃダメだろう！

…と、俺は二十歳の誕生日に親父から説教を食らった。
気分の重さと言ったら二日酔いの比じゃない…
「あのバカ息子め…一丁前に説教しおって」と祖父。
聞けば親父も二十歳の誕生日に俺と同じように祖父から説教を食らったそうだ。
蛙の子は蛙ってわけか…それを聞いて、俺の気分の悪さはケロッと良くなった。