ビアゴール

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星を眺めながらクラフトビールを飲んでいたら、UFOが我が家の庭に舞い降りた。もちろん驚いたがUFOから降りてきた宇宙人は小さくて愛らしかった。ヘリウムガスを吸ったような声で「それはなんだ?」と俺の缶ビールを指差した。
「ビールだよ。お酒、わかるかなあ」
「ああ、ビールね」
「君の星にもあるのかい?」
「あるけど飲んだりしないね」
「え? 飲まないの」
宇宙人はUFOの船内から小瓶を持ち出し指で王冠を弾いた。すると泡が勢いよく空へ噴射して青い閃光を放った。
「ビアゴールさ」
「ビアゴール?」
「メロディで酔わせるビールなんだ」
泡が弾けると、オルゴールに似た旋律に包まれ、俺はほろ酔い気分になった。漂う柑橘香のフレーバーは全身でクラフトビールを体感してるようだった。

「素敵な時間をありがとう」
「なんだか音色に酔いしれちゃったよ」
「今日は泊まりなよ、飲酒運転させるわけにはいかないからね」
SF
公開:23/10/14 01:17
更新:23/10/31 19:07
ビール

豊丸晃生( 大阪 )

ショートショートの神様、星 新一を崇拝しています。お笑い好きで怪談も好き。
お笑いネタのような作品が多いですね(笑)
【受賞作品】
「渋谷シティ」
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞受賞。
「我が家の食卓」
ベルモニーショートショートコンテスト入賞。
「電車家族」
隕石家族ショートショートコンテスト入賞。
「大男の力自慢大会」
「スカイフィッシング」
空想競技2020ショートショートコンテストW入賞。

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