地縛霊の彼女に首ったけ

始めての一人暮らしは事故物件だった。
若い女性が首つり自殺したその部屋で僕は新生活を始める。首つり自殺をした、地縛霊の彼女と一緒に。
一目惚れだった。怖がらせようとする彼女に僕は愛おしさを感じた。
彼女を抱きしめる。愛という名の金縛り。
「生前にあなたと出会いたかった」と涙する彼女。大丈夫。今からでもやり直せるよ。
僕は束縛系物件から彼女を奪い去った。
部屋を解約する際、大家さんは「またあの幽霊のせいで…」と呟く。
「大丈夫です。もうあの部屋に幽霊は出ません」と僕は答えた。
自由の身になった彼女。余りの幸せにそのまま成仏してしまいそうだ。
今の彼女は浮遊霊。うっかりすると天国へ行ってしまうかもしれない…
そうならないよう、僕は彼女を縛り付ける。運命の赤い糸。お互いの首に括られたそれはとても危い。
もし僕が浮気でもしようものなら彼女はその糸を使い、僕の首を吊らせ、地獄へと連れて行くだろう。