要再検査Xの健診

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酒好きが高じて胃を壊し、健康診断に引っ掛かった俺は、胃部X線の再検査のため病院を訪れた。
「ビーリウム検査を始めます」
バリウム検査の聞き違いか?戸惑う俺に看護師が造影剤の紙コップを渡す。
コップから上る麦とホップの香り。クリーミーな白い泡と鮮やかな金色の、
「ビ、ビール!?」
「ビーリウムです、はい飲んで」
覚悟を決めてビーリウムをグビり。滑らかな喉ごしと爽やかな苦み、炭酸の刺激が駆け抜ける。美味い、まさに極上のビール!
「患者さんのちょっと胃のとこ見てみたい♪それイッキ!イッキ!イッキ!」
「ゲップ我慢して。撮りますよ~」
飲み会風のコールに乗って一気し、良い気持ちで検査を終えた。

後日、結果を聞きに病院へ。
「見通しが悪いな。胃グラス検査もしましょう」
鼻から入れるグラスファイバーと思いきや、医者が突き付けたのはビールグラスに入った正体不明の何かだった。
「透明剤です、はい飲んで」
ミステリー・推理
公開:23/10/13 19:11
更新:23/10/14 01:01
クラフトビールコンテスト

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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