ウォーターワールド

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気が付くと水の中に浮かんでいた。
すべての景色はぼんやりとしていて何一つとしてはっきりとしていない。
僕と景色との間にある水というフィルターが視界をぼんやりとしたものにしている。

もっと良く観たい。
はっきりとしない、まったくぼんやりとした視界がそんな思いを僕に抱かせた。

ただすべてが水のなかにあるこの世界はどこに行っても何をみても水というフィルターを通すことになる。
この邪魔な水というフィルターを取り除きたい。
いつしか僕はそんな夢を持つようになっていた。

この世界から水を取り除くにはどうしたら良いのか。
僕は考えた。そして行動に移した。失敗だった。
何回も何回も考えては行動し、そして失敗した。
ついには挫折を覚え、自分の限界を知った。

夢が叶わないことに僕は絶望した。
すべてを投げ出して諦めると余剰がそぎ落とされた
最後に残った自分というシャツを脱ぐと、僕は静かに浮上していった
SF
公開:23/10/07 07:25

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