冒険者たち

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「まただよ!『正式にパーティー組むなら大手ギルドの人がいいな』って!」
俺は酒場で何十回目か分からないため息をつく。
先に飯を食い始めていた相棒が食べるスピードを変えずに言う。
「ここは冒険者の国。強い奴が生き残るし、強い奴等が集まればさらに強くなる。できるだけ強い奴と組みたいってのは真理だろ」
「じゃあどうすればいいんだよ」
俺はすっかり不貞腐れて、呟く。
「腹立つだろ…肩書きひとつで決められるなんて」
「言わせときゃいいんじゃね?」
相棒のあまりにあっさりした回答に、「誇りは?」と呆れて聞けば「無いね」と一笑され、
「でも友情ならある」
ほれ、と寄越されたのは瓶麦酒で、見たことないブランドだが"エール"と書かれている。
「洒落てるだろ」「面白くねぇよ」
舌打ちしながら栓を開け、流し込む。
炭酸がぬるくはじけて喉を刺激し、咽せ返るような強い香り。
…苦い。
でもまあ、悪く無い味だった。
青春
公開:23/10/09 22:40

詩のぶ

小説、詩、短歌、俳句、コピーなど、読んだり書いたりするのが好きです。ショートショートはこれまであまり馴染みがなかったので、ここで色々試しながら勉強できたらと思っています。
何か作るとtwitterで呟いてますのでよろしかったらそちらでも。

Twitter @shinobu_yomogi

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