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透明のビール瓶片手に旅に出る。
旅行行母とホップステップ種を詰めた放浪熟成のクラフトボトルだ。旅先の風景や土産話を仕込んで歩き、地図を枕にじっくり寝かせると、旅が終わって家に帰る頃には、思い出色に染まった飲み頃のタビールが出来上がっている。
街角の雑踏や波打ち際の潮騒、虹の切れ端に流れ星のひとかけら。瓶の中で移り変わる軌跡を車窓の様に眺めながら、ほろ酔い気分でまだ見ぬ景色を飲みに行く。
旅先で出会ったクラフト仲間と瓶を交わし、互いの旅路を味わう時間も、タビールに深みと彩りを与えてくれる。苦い過去も泡と弾けた追憶も、胸を熱くする感動も入り混じり、黄金にきらめく雫になって、やがては丸ごと飲み干せる日が来るのだ。
道々で乾杯を積み重ね、ビールと同じく出来上がった千鳥足で、なみなみと満ちた瓶を連れて玄関をくぐる。
きっと明日には地球儀と新しい瓶を小脇に抱え、また次の旅を飲み歩いている事だろう。
旅行行母とホップステップ種を詰めた放浪熟成のクラフトボトルだ。旅先の風景や土産話を仕込んで歩き、地図を枕にじっくり寝かせると、旅が終わって家に帰る頃には、思い出色に染まった飲み頃のタビールが出来上がっている。
街角の雑踏や波打ち際の潮騒、虹の切れ端に流れ星のひとかけら。瓶の中で移り変わる軌跡を車窓の様に眺めながら、ほろ酔い気分でまだ見ぬ景色を飲みに行く。
旅先で出会ったクラフト仲間と瓶を交わし、互いの旅路を味わう時間も、タビールに深みと彩りを与えてくれる。苦い過去も泡と弾けた追憶も、胸を熱くする感動も入り混じり、黄金にきらめく雫になって、やがては丸ごと飲み干せる日が来るのだ。
道々で乾杯を積み重ね、ビールと同じく出来上がった千鳥足で、なみなみと満ちた瓶を連れて玄関をくぐる。
きっと明日には地球儀と新しい瓶を小脇に抱え、また次の旅を飲み歩いている事だろう。
青春
公開:23/10/09 16:19
更新:23/10/09 17:18
更新:23/10/09 17:18
クラフトビールコンテスト
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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