ビールジョッ姫の雅ール自慢

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分厚いガラスの素肌に、十二単を着こなしたビールジョッ姫達が、都一の雅ールを醸造しているのは誰かを競っている。大麦御殿は、ジョッ姫達の衣に焚きしめられた芳醇な麦の香で溢れており酔ってしまいそうだ。

「私のビールは、秋雨に濡れた桔梗のよう。深い青紫が美しく、雨上がりにも似た香りが見事でございましょう?」

麦紫が、その身を満たすビールを上品な所作でお見せになる。

「まぁ、素敵!しかし、私のビールもご覧になって。夏の夜に咲く夕顔の、淡い月光を思わせる白色。儚げな香りと甘い口当たりも魅力でございます。」

夕麦も遠慮がちに、己に程よくつがれたビールをお見せになった。

「いいえ。私が一番でございます。」

次は六条の麦所。高貴な香りと近寄り難い漆黒のビールで、己を満たしている。

麗しいジョッ姫達のビール絵巻。
その様子を、樽車で偶然通りがかった都一のジョッ貴公子、黄金の君が垣間見ていた。
ファンタジー
公開:23/10/09 10:19
更新:23/11/19 12:30
クラフトビール 雅なビール絵巻 あなたの推しジョッ姫は?

ネモフィラ(花笑みの旅人)( 気の向くまま )

読んでくれてありがとう!

寒い季節になったから、気が向いた時にふらりと立ち寄ってゆるーく投稿しています。

少し早いですが、よいお年を!

 

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