立てこもり事件解決のプロ

今回も立てこもり犯が悲鳴を上げて建物から出て来た。
それを我々、警察が確保する。
犯人は当然暴れる。しかしそれは警察から逃げようと暴れているのではない。これまで立てこもりしていた家に現れた、ある生き物から逃げようとしているのだ。
その生き物が家の玄関から現れる。
毛皮に包まれた巨躯。歩く姿はのっしのっしと擬音がつく。
その生き物は熊だ。熊は我々、警察の前で止まると二本足で立ち上がる。
気絶する立てこもり犯。
熊は片手をあげると、その手を水平に額へと当てた。
その姿はまるで敬礼しているように見える。
いや、しているように、ではなく実際敬礼している。
実はこの熊、警察犬ならぬ警察熊である。
もちろん、その存在は極秘とされている。
当然だ。警察熊は初見殺し。犯人を驚かせ、家屋から追い出すのが仕事だ。
中でもこの警察熊は歴代きっての超エリート。
ボリショイサーカスからスカウトしてきた甲斐があった。