6
5
「あっ、待って!」
恋人と初めて二人きりで過ごす大晦日。彼の買ってきた缶ビールを開け、そのまま飲もうとしたら止められた。
「いい?見てて?」
私の手から優しく缶を奪うと、彼はグラスにビールを注ぐ。黄金色に満たされていくグラスの中をのぼっていくのは泡…ではなく、小さな鯉の群れだった。驚く私に、彼が微笑んで話し始める。
「登竜門って聞いたことあるでしょ?この鯉達も、上まで登りきれたら竜になれるかもしれないんだ。成功率は低いみたいだけど…来年は辰年だし、見られたらきっといい一年になるよね。」
たしかに、ビールの上を覆う白雲の様な泡へ到達する前に消えていく鯉が多い。私達は口もつけずに、鯉達の奮闘を見守っていた。
しばらくすると、1匹の鯉が最後の力を振り絞って跳ねあがり、泡の白雲へと飛び込んだ!
一瞬の静寂が部屋を支配した後、勇ましい咆哮とともにビール色の立派な竜がグラスの中から飛翔した!
恋人と初めて二人きりで過ごす大晦日。彼の買ってきた缶ビールを開け、そのまま飲もうとしたら止められた。
「いい?見てて?」
私の手から優しく缶を奪うと、彼はグラスにビールを注ぐ。黄金色に満たされていくグラスの中をのぼっていくのは泡…ではなく、小さな鯉の群れだった。驚く私に、彼が微笑んで話し始める。
「登竜門って聞いたことあるでしょ?この鯉達も、上まで登りきれたら竜になれるかもしれないんだ。成功率は低いみたいだけど…来年は辰年だし、見られたらきっといい一年になるよね。」
たしかに、ビールの上を覆う白雲の様な泡へ到達する前に消えていく鯉が多い。私達は口もつけずに、鯉達の奮闘を見守っていた。
しばらくすると、1匹の鯉が最後の力を振り絞って跳ねあがり、泡の白雲へと飛び込んだ!
一瞬の静寂が部屋を支配した後、勇ましい咆哮とともにビール色の立派な竜がグラスの中から飛翔した!
その他
公開:23/10/04 14:05
読んでくれてありがとう!
寒い季節になったから、気が向いた時にふらりと立ち寄ってゆるーく投稿しています。
ログインするとコメントを投稿できます