吉岡のはなし(2/3)

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手を振って挨拶をすると、今日のバイトも頑張れるような気がしてくる。
ほんの少しの会話がこんなにパワーをもっていることを、吉岡は柴田と出会って知った。

会計中にレジに返却される品物というのは、ゼロではない。
客がレジに並ばないタイミングを見て、吉岡は棚へ返却に向かった。陳列の担当に商品を渡すためである。しばらく歩くと久松が目に入った。
丸い背中を屈めて黙々と商品を並べている。声をかけると、一瞬驚いたようにして振り向いた。
吉岡は話しかけたが久松は下を向いている。話を聞いているように見えないが、吉岡が話し終わると小さな声で挨拶をした。吉岡は商品を久松に預けレジに戻った。
幸いなことに、レジは混んでおらず、今日は特売日でもなんでもないからおそらく客は少ないだろうとマネージャーが言う。
その他
公開:23/10/06 09:38
日常 オリジナル 文芸

どんぶり勘定

オリジナル短編を書いています。
同名で、ほかのサイトにも投稿しています。

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