柴田のばあい(3/3)

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夫の看病のために仕事を辞めたことが最大の失敗だと娘に言われたとき、よくわからなかった。
信号が青になり、自転車のペダルを踏みこむ。自宅に続く小道が暗くかげっている。思ったよりも秋は深まっているのかもしれない。
自宅に弱弱しい明かりがついている。ただそれは自分を待つ明かりでもないし、自分を受け入れてくれる明かりでもないことを柴田は知っている。
夫が死んでもきっと泣かないだろうと確信にも近いことを考えていた。
その他
公開:23/10/04 23:26

どんぶり勘定

オリジナル短編を書いています。
同名で、ほかのサイトにも投稿しています。

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