柴田のばあい(2/3)

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知ったきっかけが何だったのかは忘れてしまったが、20歳ごろに亡くなったと聞いたとき、思わず線香をあげさせてほしいとお願いした。
生きていたら自分の娘と同じぐらいの年だと聞いて、いてもたってもいられなかったからだが、おせっかいだったかもしれないと落ち着いてから思い始めていた。
だが、尾崎はとても喜んで迎え入れてくれたおかげで、何かあるたびにお供え物を渡すのが習慣になっていた。
誰かが死んだあと、悲しんだりなんとか生きていこうと前を向いたりと、なんとかもがくことは経験はある。だが、夫が死んだあと、自分がどう思うかあまり想像ができない。夫は病気で自宅にいるが家庭内別居だし、医者から何を言われているのかわからない。以前は医者に言われたことをまったく守らない夫に腹が立ったりもしたが、今はもう何も思わない。
その他
公開:23/10/04 23:22

どんぶり勘定

オリジナル短編を書いています。
同名で、ほかのサイトにも投稿しています。

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