特別食堂

私の行きつけの店。それはかの有名な山猫軒である。
注文の多い料理店で有名なこの店は確かに注文が多い。靴や服を指定された場所に脱がなきゃいけないし、手洗いうがいは回数から秒数まで決められている。
だがそんな細かな注文をこなした先にあるのはビュッフェ形式の食堂。
好きなものを取り、好きなだけ食べる。勿論食べた分の料金は支払わなくてはならない。一円単位まできっちりとだ。
さらに食べ終わった後、テーブルを拭き、食器洗いまでしなければならない。
何でここまで…と思わなくはないが、それがルールであれば仕方がない。従うとしよう。
食器を指定された場所に戻し、注文に従い店を出れば何も問題はない。
この注文を一つでも破ってしまえば、この店の親分さんとやらに連れ攫われてしまう。顔がくしゃくしゃになるほど怖い目に遭わされて戻ってくる。
私にとって特別な食堂。それが山猫軒。今はもうないけど、また出会えるといいな。