名画は酔いと共に回る

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 ニューヨークで変わり種の美術館が開館した。館内を移動せず、仰向けに寝たまま作品が観られるという。招待券を持った僕は、入館するとベッドと枕がずらりと横に並ぶ展示室へと案内され、サービスの酸味のあるクラフトビールを片手に寝転がった。
 鑑賞会が始まると、天井を流れるベルトコンベアーに乗って作品が近づいて来た。モネ、ダヴィンチ、カンディンスキーと、有名な作品が目の前をゆっくりと回り、一二分は楽しめるようになっていた。
 酔いが回る頃、ゴッホの絵が来た。渦を巻いた筆遣いを見ていると、眠くなってきた。次のダリの時計が溶けた絵で、眠気に負けた。
 目が覚めて目録を見ると、ルノワールやモディリアーニは終わっていた。僕の隣にはなぜか隣のベッドにいたはずの美女がいた。どうして? 甘い期待が胸をよぎり彼女を見ていると、こちらを向いた。
「すみません。モンドリアンは長く見たいので、ベッドを代わって頂けます?」
その他
公開:23/10/02 01:35
クラフトビール ショートショート コンテスト

吉村うにうに( 埼玉県 )

はじめまして。田丸先生の講座をきっかけに小説を書き始めました。最近は、やや長めの小説を書くことが多かったのですが、『渋谷ショートショート大賞』をきっかけにこちらに登録させていただきました。
飼い猫はノルウェージャンフォレストキャットです。
宜しくお願い致します

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