特別食堂

「ここは父さんの思い出の店だ。父さんが子どもの頃、爺さんと一緒に来て、今みたくかき氷を食べていたんだ」
プールからの帰りに寄った食堂で父がそう話してくれた。
「まさかあの時のガキが今、父親になってここに来てくれるとはねぇ」
店主の老婆はくっくっと笑うと、父の頭を乱暴に撫でる。
その光景をなんかいいな…と思ってしまった。

そんな僕も大人になり、結婚し、子どもが出来た。
父がしてくれたのと同じように、僕もこの食堂に息子と入る
「ここはパパの思い出の店だ。パパが子どもの頃、爺ちゃんと一緒に来て、今みたくかき氷を食べていたんだ」
店主の老婆はくっくっと笑うと、僕の頭を乱暴に撫でる。
「まさかあの時のガキが今、父親になってここに来てくれるとはねぇ」
この人も変わらないなぁ…てか、何歳なんだろう？
知りたいけど、怖くて聞けない。
そんな魔女のような老婆が経営する食堂は、大人になった僕の特別な場所だ。