蓮華笠

お腹が痛い。痛いよぉ。薬を探すのも怠いよぉ。キリキリと刺すようじゃないけれど、ドーンと深いところから来る痛み。じっとしていると、お腹の痛みに意識が集中してしまう。痛いよぉ。横になっても辛いなら、いっそ縦になってやろうじゃないか。えいやっと起き上がって私は町はずれにある植物園に車を走らせた。遠出の元気はないけれど、植物に囲まれて癒されたかったから。園内の遊歩道に沿って植えられた色々な種類の草木が生い茂って、歩くと体に草木が触れるほどだ。園の奥に進むと、薄暗い林の木段の途中に見慣れぬ白い花が下を向いて咲いていた。下を向く姿が、腹痛でうなだれている自分みたいで親しみがわいた。３・４センチほどの小さな蓮のような白い花。中はどんなかな？しゃがんで下から中を覗くと、花の中心に丸いものが見えた。手をかざすと、ぽっ。丸いのが点灯、薄紫に光った。小さなアンティークのランプシェードのように、白い花が色づいた。