コンテスト

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 石のように硬いベッド。すえた臭い。俺たちがこの暗く湿った独房に放り込まれてからどれほどの日数が経過したのか。一度の食事以外、何も起こらない。ただ格子の向こうにポスターが貼ってある。
 拷問コンテスト。
 新しい拷問のアイディア募集中! 一等賞はなんと無罪放免!! お問い合わせは看守まで。
 無罪放免なんて絶対嘘だ。それなのにどうしても考えてしまう。退屈から逃れるため、とびきり斬新で、とてつもなく残酷で、誰かについ披露したくなってしまうような拷問のアイディアを日がな一日俺たちは考え続けてしまう。そうして耐えられなくなった者から看守に耳打ちしてしまい、毎朝、ああして拷問部屋へと連れて行かれるのだ。俺だって分からない。膨れ上がった妄想がいつか口からまろび出てしまうのかと怯え、それでもポスターから目が離せず、俺は、牢獄の隅で震えながらアイディアが死んでくれるのを待ち続けている。
その他
公開:23/09/23 06:27
更新:23/09/23 06:33

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