特別食堂

虫に食い荒らされた野菜畑を見てため息をつく。虫にとって私の畑は食堂なのだろう。
無農薬をウリに作り始めた野菜。やっぱり無理があったか…
再びため息をつく。虫め…ウチの畑を食堂にするのなら代金を払えっての！
そんな悪態が虫に届いた。
蝶が受粉を手伝ってくれる。蜂が集めた蜜を分けてくれる。害虫だとばかり思っていた根切り虫が雑草の駆除を買って出た。
その上、自分達が食べるエリアと私が出荷する野菜エリアでしっかり住みわけもしてくれた。
…言ってみるものだな…
さすがに虫なのでお金は払ってくれない。だけど人手の足りないこの仕事。虫達の手助けは万金に値する。
そんな虫達の為に野菜の種類を増やすとさらに手伝いは増えた。野菜の販売所も、虫達の特別食堂も大賑わいだ。
そんな中、気をつけなくてはならないのがニセクロホシテントウゴミムシダマシ。
こいつだけはお金を出してくるがそれは偽札である。騙されないからな！