特別食堂

デート当日、寝坊した私は待ち合わせに遅刻した。
不機嫌な彼に連れられ映画館にやってくる。が、従業員の手違いで予約していた座席には人がいた。
超人気映画。今日はどの時間も満員で見られない。
肩を落とす彼。慰めついでに近くのカフェへと入った。運ばれてくる注文品。店員が転び、それが私達の服にぶちまけられた…これではデートどころではない。
近くの店で服を買い揃える。二人してクソダサスウェット姿。今これしかないらしい。
さらにさっきまで晴れていたのに急な雨。傍にあった定食屋へと駆け込む。
何か食べようと注文。余りの不味さに二人して黙り込んでしまった。
今日は最悪だ…落ち込む私に彼は笑いかけてくれた。
「こんな漫画みたいな不幸の連続。現実でも起こるんだな」
言われてみればそうだ。二人して今日の愚痴を笑い合う。マズい食事を二人食べさせ合う。
最悪な一日を特別で素敵な一時に変えてくれた彼に私は惚れ直した。