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展望台からは青い湖がよく見下ろせた。空気の爽やかな季節だ。展望台には江利子とふたりきり。湖をみていると風が吹いてくる。湖面にさざ波がたつのがみえた。
「寒いわ」江利子が言った。
「車に戻ろうか」
「そうじゃないの」
「?」
「唇が寒いの」
「w」
「素敵な風景を見てると気持ちがポエムになるの。そうしたら何か歌いたくなる。でも歌えない。何か言いたくて言えないってもどかしくて唇が寒くならない?」
江利子とのデートは何度目かになるが、こんなことばを聞くのははじめてだ。いきなりポエムと言われても、なあ。どう返事をしたらいいのか。
「そこにある望遠鏡でも見ようか」話題を変えようとして言った。
「小さな穴を覗いてもポエムは見えないわ」
そう言って江利子は湖を見る。ショートヘアの江利子の後頭部から形の良い耳が見える。耳朶にはピアスの穴がちいさくあいている。穴の向こうに湖が見えるだろうか。
「寒いわ」江利子が言った。
「車に戻ろうか」
「そうじゃないの」
「?」
「唇が寒いの」
「w」
「素敵な風景を見てると気持ちがポエムになるの。そうしたら何か歌いたくなる。でも歌えない。何か言いたくて言えないってもどかしくて唇が寒くならない?」
江利子とのデートは何度目かになるが、こんなことばを聞くのははじめてだ。いきなりポエムと言われても、なあ。どう返事をしたらいいのか。
「そこにある望遠鏡でも見ようか」話題を変えようとして言った。
「小さな穴を覗いてもポエムは見えないわ」
そう言って江利子は湖を見る。ショートヘアの江利子の後頭部から形の良い耳が見える。耳朶にはピアスの穴がちいさくあいている。穴の向こうに湖が見えるだろうか。
その他
公開:23/09/25 08:23
2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。
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