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なだらかな稜線が麓まで続いている。
この場所は山の頂きから麓の方まで続くその稜線を一望する事が出来る。
僕は嫌な事があると、この場所に来て、稜線を眺めながら保温性のボトルに入れたコーヒーを飲む。
その日は午前中にこの場所を訪れてコーヒーを飲んでいた。

この場所の説明をしよう。
この場所は辺り一面が畑で遮る物がまるでない。ずっと真っ直ぐに続く農道が畑を分断するように敷かれている。
時折、真っ赤なトラクターが通って行く。
茶色い風景のなかにぽつんと有る赤いトラクター。
さぞかし浮いてしまうだろうと思えば、それほどでもなく絶妙な色彩バランスで風景にうまくマッチしている。

そんな感じのこの場所から稜線を見ている。
なだらかに右下に降っていく、その様にいろいろなモノをなぞらえる。
例えば、今の景気だったり、人の一生だったり。

そうした思索をしているとある衝動に駆られる。
ああ、トイレ行きたい。
公開:23/09/16 22:50

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