1
3
十五夜の光に白く染って、私は、母が見せてくれた手品を思い出していた。
遠い記憶の母は両手を上げ、月を挟むように「パン!」と手を合わせる。母の手には真っ白なサンドイッチ。ミントの風味がしたように思う。
私も夜空に手を伸ばし、小さく手を打ってみた。
するとミニチュアサイズの鍵が生まれて落ちた。
次は思い切って大きな音で手を打って合わせた。手の中に白くて立派な鍵が現れた。満月は幾分小さくなったように思える。
鍵を持って月のほうへ伸ばすと、宙空に手応えがあった。
引っ掛けたままゆっくり回すと、月が歯車の音を立てて回転を始めた。
背後で扉が開き、「ママ!」と叫ぶ娘の声が迫った。
遠い記憶の母は両手を上げ、月を挟むように「パン!」と手を合わせる。母の手には真っ白なサンドイッチ。ミントの風味がしたように思う。
私も夜空に手を伸ばし、小さく手を打ってみた。
するとミニチュアサイズの鍵が生まれて落ちた。
次は思い切って大きな音で手を打って合わせた。手の中に白くて立派な鍵が現れた。満月は幾分小さくなったように思える。
鍵を持って月のほうへ伸ばすと、宙空に手応えがあった。
引っ掛けたままゆっくり回すと、月が歯車の音を立てて回転を始めた。
背後で扉が開き、「ママ!」と叫ぶ娘の声が迫った。
公開:23/09/15 20:39
ActivityPubに対応したWordPressへお越しください→ https://rey-li.com
ログインするとコメントを投稿できます