回収のバイト

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どうしてこんなところに置くのか。
昭二はほとほとあきれていた。
カートを回収する仕事はおそらく楽だろうと思っていたが、その想像の通り、それほど忙しくも大変でもない仕事であった。
ただ、ひとつ、しんどいと感じることがあった。それは、役に立っているとは思えない、である。
回収しても回収しても、置いたそばから使われるので四方八方に飛び散っていく。おまけに前職とはあまりにもかけ離れているので、昭二としては少しプライドが傷ついてもいた。
娘は、雇ってくれるところがあるだけマシだと言うが、せっかく退職したならもう少し自分の好きなことをして過ごしたかった。だが家にいることをストレスに感じた妻から差し出された求人が、このスーパーのカート回収のバイトであった。
その他
公開:23/09/14 01:41

どんぶり勘定

オリジナル短編を書いています。
同名で、ほかのサイトにも投稿しています。

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