特訓の成果

宇宙旅行が身近なものとなった今、夏休みを利用しバスケやバレーの合宿を宇宙で行う学校が増えた。
地球より重力の軽い場所だと体幹が鍛えられる。身長が高くなる。そのデータに成長期の我が子を宇宙合宿に参加させる親が多くなった。
ウチも同じように息子を宇宙合宿に行かせようとしたが…
「僕はいいよ。地球で地道に練習するから」
断られた。
確かに、ウチの経済状況を考えると宇宙合宿は安いものではない。
だけど…本当にいいのだろうか？息子の身長は高くない。バスケをやるには身長が必要だろう？
「それは…どうかな？」
私は息子の言葉の意味を夏休み明けの練習試合で知った。
背の低い息子はその小ささと体の柔軟性を駆使し、背の高い選手を翻弄し、その脇をすり抜けていく。フォローは仲間に任せ、フォワードとして相手のゴールへと切り込んでいく。
「僕は地に足の着いた練習を続けていただけさ」
試合に勝った息子は自慢げに笑った。