共同作業

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彼氏の親友の結婚式。披露宴はドレスコードのある食堂と聞き、お洒落しなきゃと意気込んでいたら、
「そっちじゃないよ」
とからかい半分に頬っぺたをつつかれた。

新郎の故郷は海の綺麗な港町だった。
Tシャツ軍手にゴム長靴、麦わら帽子と首には手拭い。これ以上ないほどラフな『正装』で浜に集まった参列者に、早くも漁師のおかみさんの顔で新婦が網を渡す。
「夫婦と皆様、初めての共同作業です!」
新郎の船と浜の新婦の音頭に合わせ綱を引く。上がって来た大量の魚にわっと歓声が上がった。
漁れたての魚で浜焼きを楽しみ、日焼けした顔で笑う。砂だらけのびしょ濡れになって働く夫婦の姿が、波打ち際にきらきら輝いて見えた。

締めの二投目、ブーケプルズならぬネットプルズで、私と彼氏は大物の桜鯛を引き上げた。
「これが本当の『めでたい』だ」
「次はあなたの番ね、お幸せに」
鯛より真っ赤な二人の間で、ハート型の尻尾が踊った。
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公開:23/09/19 14:32
月の音色 月の文学館 テーマ:特別食堂 朗読採用いただきました♪

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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