小銭と、フォロー

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公園の片隅に、一人の男が立っていた。パフォーマーだ。
白いシャツにシンプルなズボンで、髪型も普通だ。
男は手にノートを持ち、それを読み始めた。それは詩というより、音楽のないラップのようだった。

あまり通る声ではないが、周囲の空気を澄ませるような響きがあった。彼の周りには不思議な、暗い輝きのある空気が漂った。

男は4つか5つの作品を読み、静かに一礼した。
周囲の人たちは皆、拍手をした。人々は、このパフォーマンスに対して、寄付か、ほどこしをしたいと思った。
実際に男の前に、小銭を置いた人もいる。

男は笑っておじぎをし、スマホを出して、動画のページを見せた。
「僕は〇〇といいます。お金も嬉しいですが、気に入ってくれたら、フォローをして下さいね」

フォローも、小銭も、今の時代では同じ。
不思議な空気は消え去り、おだやかな公園の一角で、彼と親しげに語り合う人たちの姿が、しばらく続いていた。
その他
公開:23/09/18 21:14
更新:23/09/18 21:43

tamaonion( 千葉 )

雑貨関連の仕事をしています。こだわりの生活雑貨、インテリア小物やおもしろステーショナリー、和めるガラクタなどが好きです。

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