スーパー(1/3)

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あ、ペコペコだ。
山本はバイトに指示を出しながら、ニックネームがついている客が目に入った。
ペコペコ。いつもペコペコと頭を下げながら人と話しているので、ペコペコ、と言われていた。
ペコペコは、おずおずと遠慮がちにカートを押してはいるが、よく商品や人にぶつかるため嫌っている店員はいた。山本は何か感情を持っているわけではないが、以前付き添いの男性に怒られているのを見て以来、なんだか気にはなっている。
早速、ペコペコが商品にぶつかった。驚いたペコペコは商品が少し崩れたのは気になったようだが、直そうとする前にカートがほかの商品にぶつかり、おろおろするばかりだった。
隣にいたバイトが舌打ちをして、商品を直しに行った。お客様向けの顔を忘れたような声で接する彼を見て、そこまで怒ることかと思いはする。だが、この店にずっといるバイトの気持ちを考えると、やむを得ないのかもしれない。
その他
公開:23/09/10 13:04

どんぶり勘定

オリジナル短編を書いています。
同名で、ほかのサイトにも投稿しています。

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