買い物(1/3)

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佳代子が車から降りると、じりじりとした日差しが首筋をとらえた。
ほんの少し日差しを浴びただけで体が熱を持つのが分かる。足早にスーパーへ駆け込むと、ひんやりとした空気が自動ドアから流れてきた。
熱中症のニュースにいまいち共感できないのは、涼しい部屋を捨て外へ行くのか、よくわからないからだ。
カートにかごを乗せる。野菜、果物、魚、肉と色とりどりの中から、何を選ぶのか。主婦歴20年もたてば、あまり迷うことはない。それは新しいものに手を出さないということでもあるし、目新しい食材は、こんな田舎のスーパーには並ばないのだ。
いつもと同じ食材で、たまに買うお菓子は最近安いプライベートブランドに変えた。
ピアノ塾の月謝は据え置きでありがたいが、そのうちきっと値上がりするだろう。そうなると続けていけるのかどうかが怪しいところではある。辞めたくはないんだけどな。佳代子は値札とにらめっこをしていた。
その他
公開:23/09/08 15:27
更新:23/09/08 15:30

どんぶり勘定

オリジナル短編を書いています。
同名で、ほかのサイトにも投稿しています。

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