市役所にて

「瀬川朝子と寝たでしょう？」
「え？」
いきなり受付カウンターの女性に言われた。マイナンバーカードを取りにきただけなのに。
「申請項目を検証して判明しました」
「瀬川朝子なんて知りません」
「コンピューターはあなたが瀬川朝子と不適切な関係があると出力しました」
「そんな」と言いかけて気がついた。女性の胸の名札に瀬川朝子とある！
「瀬川朝子さんですね。あなたと関係が？」
女性は見たところ二十歳は年上だ。
「ありえない。年が違いすぎる」
「失礼ね。年齢差恋愛を否定するのですか」
「いや、そうじゃなくて」
「同姓同名の瀬川朝子は市に数人います」
「その一人と関係したと？」
「いいえ、私とです。あなたと関係を持ったのは」
「まさか。誰かこの方を変えてください！」大声を出した。女性は席を立った。次にやってきたのは白髪のさらに年配の女性。そして嫌な予感、まさかの展開。白髪の女性の名札には瀬川朝子・・。