予報

「……それでは次に、本日の予報をお送ります。
　今朝は、大陸からの勢力がさらに張り出し、圧力を強めております。
　そのため、午前中は昨日までと同様、日本海側を中心に非常に不安定な状態が続くと見られていますが、お昼過ぎから、本州、四国、九州を中心に押し戻し、その後は、広い範囲で安定するでしょう。
　しかし、相変わらず、局地的に、突然、猛烈な勢いの……」
　ボクは、ネットラジオを消しながら、コーヒーの最後の一口を飲んだ。
「さてと、出かけるか」
　まぁ、今日も、大体思っていたとおりだ。念のため、折りたたみは持って行こう。
　ところで、昔は、今と違って完璧にはシミュレーションできなかった天気に対する「予報」が、朝の定番だったらしい。
　今のように、我々人間の制御を離れ、完全に活動が予測不可能となった各国の「集団的AI」の振る舞いに対する「予報」を気にするようになったのは、一体、いつ頃だったか……