日錠剤

産まれた時から裏社会の住民だった僕は日常に憧れていた。
日々、犯罪に手を染める自分が嫌で仕方がなかった。
日陰ではなく、お天道様の下で人生を謳歌したかった。
「出来ますよ」
闇医者に心の内を吐き出したところ、錠剤を渡された。
「日錠剤。それで君の体質を日常を送れるものへと変えられます」
これを飲めば…僕は表の世界で生きられるの？
「ええ、君の表社会で馴染めないという体質を変えてくれます。ただし毎日飲み続ける必要があります」
毎日薬を飲み続けるだけで日常が手に入るなら安いものだ！僕は薬を飲み、表の世界へと飛び出した。

学校に通い、皆と一緒に勉強や運動、遊びや恋を謳歌する僕。
そんな日常も、いじめを機に事態は一変した。
いじめっ子に薬を取り上げられた僕。体質が徐々に日常から離れていく。
ああ…こいつらの肉を食らいたい…抑圧されていた怪物の本能が目を覚まし、教室を非日常的なものへと変えた。