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日が沈み、提灯に火が入ると祭囃子が流れ始める。
道行く人間は楽しそうに笑い、人食い鬼である私を閉じ込めた社へと祈りを捧げる。
昔の私は五穀豊穣の願いを叶える代償に生贄を要求した。その昔から考えると、人間の表情は明るくなったものだ。
この人間達は飢餓の苦しみを知らない。己が食われる存在だとは思っていない。
社の扉が開かれる。鬼の面をつけた私は、案内役の神子の手を取ると祭りへと繰り出す。
神子は私に次々と屋台の食べ物を運ぶ。生贄の代わりであるそれらを全て平らげる。
いつしか私の周りには多くの人が集まり、その食べっぷりを称賛する声で溢れていた。
形は変わってしまったが、私は信仰心の高まりを感じる。
仕方がない…人間よ。もっと美味いものを作れるよう精進しろ。そうする限りは生贄も要求しまい。
私の宣言に祭りの盛り上がりはピークを迎える。
今年もまた、人間の神輿に担がれてしまったと気が付いた。
公開:23/08/31 20:58

幸運な野良猫

yahoo!サーバーに問題が発生したらしく2022年9月1日より2週間入れなかったので新規にアカウント取得。
半年以上毎日Yahoo!IDでログインを試みるも、現在進行形でログインできない状態です。#EY003って何だ?
運営に報告するも、ずっと無視されております。自動応答メールだけが返ってくる…1年経過で、もう諦めた…

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